制作傾向

アンフォルメル

Art Informel

戦後欧州で、幾何学的秩序より身振り、偶然、傷、厚い物質を重視した多様な抽象傾向。

年代
1945年頃 - 1960年頃
地域
フランス、スペイン、イタリア、汎ヨーロッパ
主な都市
パリ、バルセロナ、ローマ
確認状態
情報確認状態:確認済み
別名・関連名称
不定形芸術、Tachisme、Art autre

クイックサマリー

中心テーマ
完成された形より、制作行為と物質が生じる過程・痕跡を画面の中心に置く。
主要素材
油彩、砂、石粉、布、紙、樹脂。
空間表現
全面的な物質と痕跡が、図と地の安定した区別を崩す。
鑑賞環境
戦後欧州の展覧会観衆、批評家、抽象絵画の収集家、同時代の国際作家。

名称の由来

「アンフォルメル」はフランス語で「非定形」や「形を持たない」を意味します。批評家ミシェル・タピエが1950年代初頭に、既成の形式を離れた戦後欧州の抽象表現を示す語として広めました。

原語
Art informel
語義
非定形の美術
命名
ミシェル・タピエ
文脈
1950年代初頭の展覧会と批評による命名

思想と歴史的背景

中心となる考え

完成された形より、制作行為と物質が生じる過程・痕跡を画面の中心に置く。

社会的背景

第二次世界大戦後の破壊、占領、政治的抑圧、実存思想の中で展開した。

主な主題

物質、傷、痕跡、身体の暗示、戦争記憶。

何が新しかったか

転換したこと

幾何学抽象の秩序、古典的均衡、中心化された構図。

継承したこと

シュルレアリスムの自動性、表現主義、物質実験、戦前抽象。

視覚的特徴と技法

見た目の特徴

非定形、盛り上がる凹凸、染み、傷、反復する身振り、中心のない構図。

構図・空間

全面的な物質と痕跡が、図と地の安定した区別を崩す。

色彩・光

土色、灰、黒、白と物質の吸収・反射を重視する。

技法

厚塗り、擦過、混合技法、砂・布の混入、自動的筆触。

媒体・素材

油彩、砂、石粉、布、紙、樹脂。

制作と受容

ミシェル・タピエらの批評と企画展、画廊、雑誌、国際展を通じて「別の芸術」として流通した。

芸術家の社会的地位

宣言を共有する単一組織ではなく、批評家が戦後欧州の異なる作家を横断的にまとめた制作傾向。

制作制度

個人アトリエでの絵画・混合技法を中心に、批評、画廊展、国際展が緩やかなまとまりを作った。

パトロン・注文主

パリを中心とする画廊、戦後美術の収集家、美術館、国際展主催者。

主な鑑賞者

戦後欧州の展覧会観衆、批評家、抽象絵画の収集家、同時代の国際作家。

主要作家

代表作品

  1. 作品 01

    灰色と緑の絵画

    Grey and Green Painting

    砂や粉を含む厚い表面に擦過と記号を刻み、画面を壁や物質の痕跡として扱う。

    作者
    アントニ・タピエス
    制作年
    1957年
    素材・技法
    混合技法、カンヴァス
    所蔵先
    Tate

    画像は権利確認後に収録予定。作品詳細で確認

    1. 作品 02

      人質(シリーズ)

      Otages

      盛り上がった淡い物質に顔の断片を残し、占領と暴力の記憶を直接描写せず触覚化した。

      作者
      ジャン・フォートリエ
      制作年
      1943〜1945年
      素材・技法
      紙に厚塗り、カンヴァス貼り
      所蔵先
      各地所蔵

      画像は権利確認後に収録予定。作品詳細で確認

後世への影響

後世に残したもの

欧州の物質絵画、具体、戦後日本・ラテンアメリカの抽象との比較軸を作った。

損傷、修復、素材の経年を作品の意味として読む視点につながる。

この運動から

  • 同時代具体美術協会

    アンフォルメルと具体は戦後に身振り・物質・破壊を同時代的に探究し、批評交流もあったが、一方を他方の派生として扱わない。

  • 同時代CoBrA

    戦後欧州で物質と身振りを重視した並行的な展開だが、CoBrAは共同体と具象的生物像をより強く保った。

  • 同時代単色画

    物質と身振りへの関心を共有するが、単色画を欧州アンフォルメルの派生と断定せず、韓国の制度と身体性を含む並行比較とする。

鑑賞ガイド

鑑賞ポイント

  1. 01身振りと物質を分けて見る
  2. 02抽象表現主義との同時代性と地域差を比べる
  3. 03包括語で作家差が消えないようにする

検索用キーワード物質、身振り、戦後欧州、タシスム、非定形

出典

対象地域はフランス、スペイン、イタリア、汎ヨーロッパです。記述は以下の美術館・研究機関等の資料に基づきます。

  1. Art of Another Kind: International Abstraction, 1949-1960↗

    Solomon R. Guggenheim Museum

    美術館・信頼性:高・参照日 2026-07-30

    対応する記述:アンフォルメルの反幾何学、物質、国際的広がり

  2. Antoni Tàpies, Anular↗

    The Museum of Modern Art

    美術館・信頼性:高・参照日 2026-07-30

    対応する記述:アンフォルメルと物質絵画、タピエスの素材