クイックサマリー
- 中心テーマ
- 自然の忠実な描写ではなく、目に見えない観念や感情を、暗示的なイメージ・象徴によって喚起する。
- 主要素材
- カンヴァス・油彩、紙・パステル。
- 空間表現
- 現実の空間から遊離した、心的・象徴的空間。
- 鑑賞環境
- 文学・芸術に通じた知識人層。
名称の由来
「象徴主義」は、見える現実の背後にある観念を象徴で表す立場を示します。詩人ジャン・モレアスが1886年の「象徴主義宣言」で Symbolisme を掲げ、文学から視覚芸術へ広がりました。
- 原語
- Symbolisme
- 語義
- 象徴による表現を重視する立場
- 命名
- ジャン・モレアス、1886年
- 文脈
- 文学宣言から美術を含む国際的傾向へ展開
思想と歴史的背景
中心となる考え
自然の忠実な描写ではなく、目に見えない観念や感情を、暗示的なイメージ・象徴によって喚起する。
社会的背景
実証主義・産業社会への反動として、精神性・内面・神秘への関心が高まった(世紀末=fin de siècle)。
哲学・思想史との関連
観念論的・神秘主義的思潮や象徴主義文学の詩学が理論的背景となった。
主な主題
神話、夢、死、エロスと神秘、内面の心象。
何が新しかったか
転換したこと
写実主義・自然主義の外面的記述と、印象派の視覚的即物性に対し、内面と観念を対置した。
継承したこと
ロマン主義の主観・幻想を継承し、より観念的・暗示的に深化させた。
視覚的特徴と技法
見た目の特徴
夢幻的・神話的な図像、装飾的で平面的な画面、曖昧で暗示的な雰囲気。
構図・空間
現実の空間から遊離した、心的・象徴的空間。
色彩・光
非自然的で象徴的な色、朦朧とした光。
技法
層塗り、ぼかし・擦筆、版画制作、画面と装飾の統合。
媒体・素材
カンヴァス・油彩、紙・パステル。
制作と受容
サロン・ド・ラ・ローズ+クロワなど象徴主義的な展覧会も生まれた。
芸術家の社会的地位
文学者・批評家と交流する知的な前衛としての地位。
制作制度
画商・独立展・文学サークルとの連携。
パトロン・注文主
前衛的な収集家・愛好家。
主な鑑賞者
文学・芸術に通じた知識人層。
主要作家
- ポール・ゴーギャン
Paul Gauguin
平面的な色面と太い輪郭(クロワゾニスム)で象徴的な絵画を追求。タヒチに移り「原始」への憧れを描いた。
- ギュスターヴ・モロー
Gustave Moreau
神話・聖書を幻想的・装飾的に描いた象徴主義の代表。多くの前衛画家を育てた教育者でもあった。
- オディロン・ルドン
Odilon Redon
夢と幻想の世界を黒(ノワール)の版画や色鮮やかなパステルで表した象徴主義の画家。
代表作品
後世への影響
後世に残したもの
内面・無意識への関心はシュルレアリスムへ、装飾的平面性はアール・ヌーヴォーや抽象へ流れ込んだ。
不可視の観念や心的世界を可視化する試みは、後の無意識の芸術(シュルレアリスム)や観念中心の制作へ連続する。
鑑賞ガイド
鑑賞ポイント
- 01「描かれたもの」より「暗示されるもの」を読む
- 02印象派の視覚性への反発として見る
- 03文学との結びつきを意識する
検索用キーワード象徴主義、内面、夢、世紀末、モロー、ルドン、暗示

