芸術運動

キュビスム

Cubism

ピカソとブラックが創始した、対象を複数の視点から同時に捉えて平面上に再構成する革命的手法。単一視点遠近法という500年の前提を解体した。

年代
1907年頃 - 1922年頃
地域
フランス
主な都市
パリ
確認状態
情報確認状態:確認済み
別名・関連名称
立体派、Cubism

クイックサマリー

中心テーマ
固定した一視点からの再現を捨て、複数の視点・時間を一つの画面に統合する。絵画を「見えたまま」から「知っている構造」の再構成へ転換する。
主要素材
カンヴァス・油彩、新聞・壁紙・楽譜などの貼付素材。
空間表現
奥行きのある遠近法的空間を否定し、浅く連続する平面的空間を構築する。
鑑賞環境
前衛芸術家・批評家・収集家。

名称の由来

「キュビスム」は「立方体」を意味する cube に由来し、批評家ルイ・ヴォークセルが1908年にブラックの作品を幾何学的な形として評したことから広まったとされます。発言の伝わり方には幅があります。

命名の細部には幅があるため、確認できる一般的な説明を示しています。

原語
Cubisme
語義
立方体による表現
命名
ルイ・ヴォークセル、1908年
文脈
ブラックの作品に対する批評語

思想と歴史的背景

中心となる考え

固定した一視点からの再現を捨て、複数の視点・時間を一つの画面に統合する。絵画を「見えたまま」から「知っている構造」の再構成へ転換する。

社会的背景

相対性・同時性への関心、非西洋(アフリカ)美術との出会い、近代都市の複数的経験が背景にある。

哲学・思想史との関連

同時性・相対性への時代的関心(ベルクソンの持続論なども文脈として言及される)と共鳴する。

主な主題

静物、肖像、楽器、カフェ。日常的で中立的な主題を選んだ。

何が新しかったか

転換したこと

ルネサンス以来の単一視点遠近法と、対象の一貫した外観の再現に対する根本的な反発。

継承したこと

セザンヌの幾何学的な対象把握と、アフリカ彫刻・イベリア彫刻の造形を継承・転用した。

視覚的特徴と技法

見た目の特徴

対象を面(プレーン)に分解して多視点を統合し、分析期には色を抑え、総合期には活字や木目など現実の断片が現れる。

構図・空間

奥行きのある遠近法的空間を否定し、浅く連続する平面的空間を構築する。

色彩・光

分析的キュビスムでは色を抑え、形の分析を優先。総合的キュビスムで色と現実の断片(新聞・木目紙)が復活する。

技法

対象を複数面へ分解して再構成し、パピエ・コレ/コラージュで現実の断片を貼り込む。

媒体・素材

カンヴァス・油彩、新聞・壁紙・楽譜などの貼付素材。

制作と受容

アンデパンダン展、画廊、前衛の批評ネットワーク。

芸術家の社会的地位

前衛の中心的存在。画商(カーンワイラー)が理論と市場を支えた。

制作制度

画商・前衛サークルによる支持。

パトロン・注文主

前衛的画商・収集家。

主な鑑賞者

前衛芸術家・批評家・収集家。

主要作家

  • パブロ・ピカソ

    Pablo Picasso

    ブラックとともにキュビスムを創始し、20世紀美術を通じて絶えず様式を刷新し続けた。

  • ジョルジュ・ブラック

    Georges Braque

    ピカソと協働してキュビスムを展開し、パピエ・コレ(貼り紙)を導入した。

代表作品

  1. 作品 01

    アヴィニョンの娘たち

    Les Demoiselles d'Avignon

    人体を鋭い面に分解し、イベリア・アフリカ彫刻の造形を取り込んだ、キュビスムへの転回を告げる画期的作品。

    作者
    パブロ・ピカソ
    制作年
    1907年
    素材・技法
    カンヴァス・油彩
    所蔵先
    ニューヨーク近代美術館(MoMA)

    画像は権利確認後に収録予定。作品詳細で確認

    1. 作品 02

      アンブロワーズ・ヴォラールの肖像

      Portrait of Ambroise Vollard

      画商の肖像を無数の小さな面へ分解した分析的キュビスムの典型。対象は色を抑えた結晶的な平面の連なりとして再構成される。

      作者
      パブロ・ピカソ
      制作年
      1910年
      素材・技法
      カンヴァス・油彩
      所蔵先
      プーシキン美術館(モスクワ)

      画像は権利確認後に収録予定。作品詳細で確認

後世への影響

後世に残したもの

未来派・構成主義・抽象など20世紀前衛のほぼ全てに波及した。コラージュは現代美術の基本的手法となった。

視点の複数化・画面の平面化・現実素材の導入は、後の平面性の探究(スーパーフラット等)やミクストメディアに連続する。

この運動から

  • 影響未来派

    未来派はキュビスムの形態分解を運動・速度の表現へ転用した。

  • 技術的関連ダダ

    ダダはキュビスムのコラージュを、制度批判のフォトモンタージュへ批評的に展開した。

  • オルフィスムはキュビスムの分割構造を継承し、抑えた色調を純色と同時対比へ転換した。

この運動へ

  • ポスト印象派継承

    セザンヌの幾何学的な対象把握がキュビスムの直接の源泉となった。

  • キュビスムはルネサンス以来の単一視点遠近法という500年の前提を根本から解体した。

鑑賞ガイド

鑑賞ポイント

  1. 01複数の視点が一画面にどう統合されているか探す
  2. 02単一視点遠近法の解体という意義を意識する
  3. 03コラージュによる「現実の断片」の導入に注目

検索用キーワードキュビスム、ピカソ、ブラック、複数視点、平面性、コラージュ、セザンヌ

出典

対象地域はフランスです。記述は以下の美術館・研究機関等の資料に基づきます。

  1. Cubism↗

    Tate

    美術館・信頼性:高・参照日 2026-07-23

    対応する記述:キュビスムの複数視点・平面・対象の分解

  2. Cubism↗

    The Museum of Modern Art (MoMA)

    美術館・信頼性:高・参照日 2026-07-24

    対応する記述:キュビスムの複数視点・対象の分解・日常素材の導入